【後編】1+1=2の証明とは?

後編では具体的な証明に着手します。

色々な前置きは前編からどうぞ。

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証明をするにあたって、前提として、

皆さんが当たり前に知っている1,2,3,4,・・・などの自然数は一時的に忘れてください。
また、+などの四則計算はまだ知らないものとしてください。

ではスタートです。

目次

ペアノの公理

さて、証明をするには自然数の定義を確認する必要があります。

それが、次の5つの公理からなるペアノの公理です。

① 自然数0が存在する。
② 任意の自然数 $a$ にはその後者が存在する。
③ 0はいかなる自然数の後者でもない。
④ 異なる自然数には異なる後者を持つ。
⑤ 0がある性質を満たし、 $a$ がある性質を満たせばその後者もその性質を満たすとき、
  すべての自然数はその性質を満たす。

このルールの中で、ちゃんと1+1=2という計算がうまくいっていれば、

誰もが文句の付けようがない証明となるわけです。

さて、証明をする前にちょっと準備が必要です。

「後者」について

ペアノの公理には「後者」という言葉が出てきます。

前編ではすぐ後ろの数字と説明しました。例えば7の後者は8です。

言ってしまえば、後者とは「+1する」ことなのですが、あえて1や+を使わないで表現します。

一般的には次のように表現します。

$a$ の後者を suc($a$) とする。

後者(successor)から取り、suc($a$)と表記します。読みはサック・エーです。

が、表現を変えてあえてこうしちゃいましょうか。

$a$ の後者を $a$’ とする。

今回はある程度分かりやすさ重視でいきたいと思います。

 

ついでに、 $a$’ の後者は ($a$’)’ のように、 ‘ を付け加えていくと考えていきましょう。

ちなみにsucを使うと、 suc($a$) の後者はsuc(suc($a$)) となります。

このパターンの表記に慣れてないとちょっと複雑に感じてしまうかもしれませんので、今回は ‘ (ダッシュ)を使わせてもらいます。

足し算の定義

では、いよいよ足し算「+」の定義です。

実は、自然数に0を含めるかどうかでちょっと定義が変わってきてしまうのですが、

今回は0を含めたものを紹介します。

足し算「+」の定義
① すべての自然数 $a$ に対して、 $a$+0=$a$
② すべての自然数 $a$,$b$ に対して、 $a$+$b$’=($a+b$)’

これが足し算の定義です。この決まりを使って1+1=2の証明をしたいと思います。

②がよくわからないんだけど・・・

①は「0」の足し算における性質を定義しています。これで皆さんの知っている0の完成です。

②は、 $a$ に $b$ の後者を足したものは、先に $a$ と $b$ の足し算をした数の後者と同じだと言っています。

具体的な数字を代入するとイメージしやすいかもしれません。

$a=3$ 、 $b=5$ としましょう。すると、 $3+5’=(3+5)’$ という式になります。

$5’$ は5の後者なので、6のことです。

$(3+5)’$ は $8’$ です。つまり8の後者なので9です。

当てはめると、 3+6=9 となります。この式は正しいですよね。

 

ちょっと難しい内容だったと思いますが、①と②を合わせることによって、不備なく足し算を定義することができるのです。

さらに、これを利用することで掛け算なども説明がつくようになります。

この定義をまとめた数学者は本当にすごいですね。

1と2の定義

定義、定義ばかりで頭が痛いかもしれませんがもう少しです。

唐突に知らない記号が出てくると困りますから、

ちゃんと「1」や「2」という記号はこういうものだという決まりを用意しておく必要があります。

定義 $0$’=1、($0$’)’=2 とする。

はい。これだけです。

1は0の後者、要するに0の次の数を1にしました。

同様に、0の次の、次の数を2としました。

 

さて、準備完了です。証明しましょう。

1+1=2の証明

<証明>

足し算の定義 $a$+$b$’=($a+b$)’ において、

$a$=$0$’、$b$=$0$ とすると、

$0$’+$0$’=($0$’+$0$)’

$0$’+$0$’=($0$’)’  (足し算の定義①より)

1+1=2  (1と2の定義より)

<証明終わり>

まとめ

意外とあっさりとした証明だったね

事前準備がしっかりとできていれば、実はこのように1+1=2の証明自体は数行でできてきまいます。

さらに、3や4などの別の自然数を定義していけば、どんな自然数の足し算も表せるようになります。

しかし、その準備が大変でした。

 

もっと厳密にやると、1や2などの計算結果が「自然数の集合に含まれるか」をしっかりと調べる必要があります。

さらに難しい話をすると、足し算についても、「自然数の中で足し算の計算を満たす関数が少なくとも1つは存在するか」を調べないといけないのです。

要は自然数で足し算は使えるのかどうか、ってことです。

定義と言えど、適当な計算を用意してつじつまが合わないとなると困りますからね。

このあたりの準備もすべて含めると、やはり「1+1=2の証明は難しい」ってことになりますね。

 

この証明は、「簡単なこと、当たり前なことの定義をする」ということの難しさや大切さを確認させてくれるものです。

この記事が皆さんの参考になったなら幸いです。

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